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遊音地@横浜みなとみらいホール〜その3

このシリーズ最終回となる「バックステージツアー」のレポートです!

今回の企画は親子向けで「ピチカートツアー」という名称でした。私だけでは参加出来なかったかも⁈小学生の娘と2人で参加しましたが、10時半受付開始のところを10時過ぎから並んで、なんとか滑り込みセーフという人気ぶりでした。
案内してくださったのは、みなとみらいホールの事業計画の段階から携わっていらしたという中村卓史さん。ホールの隅から隅までご存知で、たくさんのウンチクを語ってくださいました。
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ツアーはモール側入口の壁画前から出発し、
正面玄関→クローク、2階へ上がって大ホール客席→ステージ、ステージ下手側通路から舞台裏へまわり、楽屋2部屋→アーティストラウンジ→荷捌場→楽屋口、地下へ降りてリハーサル室→大部屋楽屋→ピアノ庫→ピアノ搬送用エレベーターにて小ホールのある6階→屋上庭園→関係者用エレベーターにて1階→正面玄関前ロビーに戻る(以上記憶で書いてます、抜けてるかも)
というルートでした。

大ホールのステージ上から指揮者用の第1楽屋、アーティストラウンジあたりは最高に興奮しました。オーケストラ用のホールや設備には全く縁がありませんからね。指揮者用の楽屋には、アプライトピアノが1台、シャワー室もありました。リハーサルから開演までの間を楽譜とともに、あるいはピアノを使って過ごす、指揮者の部屋。「小澤征爾さんなんかはシャワーは使わずに、必ず乾いたタオルを使用されるんですね」などと、具体的なお名前が上がると興奮度もマックスです!
アーティストラウンジはそこそこ広く、でも本当はもっと広さが欲しかったそうです。正方形の4人掛けのテーブルが舞台の真裏にあたる位置に、6〜7くらい横一列にありましたでしょうか。壁沿いには楽器を置くための棚が作りつけてあり、これはみなとみらいホールの自慢で、どの楽団にも喜ばれるそうです。「高価な楽器ですから、皆さん必ず持って歩かれます」との説明に深く頷くギター弾きの私。ピアノ弾きの娘は無関心。飲み物が提供されるカウンターがあり、クッキーなどのお菓子が並べてありました。

大ホール自体の説明も興味深いものでした。このホールは、公設民営というのかな?横浜市から「2000席のクラシック専用ホールを」という依頼が先にあったそうで、2020席のシューボックス型ホールとして完成しました。2000席でシューボックスというのは、実はかなり無理な設計。(土地の形状の制限からワインヤード型は設計できなかった。)2階後方の左右バルコニーでは舞台の半分以上が見えないような席もあるそうですが、どの席からも指揮者だけは見えるように設計を依頼したとのことでした。ホール全体の施工にかける費用を計画当初よりも節約した中で、音響設計に関わるところではビタ一文もケチっていない、と胸を張っておられた中村さんです。

ホール施工の費用が節約されたと書きましたが、これはみなとみらいホールが建てられた当時の時代背景のためです。みなとみらい地区の開発は今から30年前の横浜みなとみらい万博開催を機に始まり、ホールが計画されたのは25年前の1995年、バブルの時代です。ところがその後すぐにバブルがはじけて経済が暗転、長い不況の時代となりました。バブルの時代に計画されたとおりには実行できなかった施工案が多くあり、例えば正面玄関などはあまりにも簡素な仕上がりになったために、完成当時案内された横浜市長が「ここは裏口かね?」と言ったというエピソードも。ホール内外の装飾は経済が上向けばいつか足していくことも可能だろう、しかし、音響は一度出来上がったものを変えるのは非常に難しい。しかも、音が良くないという評価が定着すれば一流のオーケストラを呼ぶことも難しくなる。音作りに費用を惜しまなかった理由は明確でした。納得です。

このように、ちょっと子どもには難しいだろうなーと思われるウンチクを聞きながら、あっという間の1時間でした。娘は、ステージ上に置かれてあったスタインウェイのピアノに見とれ、地下のピアノ庫で「どれがベーゼンドルファー?」「わかんなかったー」とがっくり。いつの間にかピアノ弾きらしくなっていて面白かったです。ピアノは地下のピアノ庫からセリで舞台に載せますが、みなとみらいホールでは舞台の端にピアノ用のセリを設計したそう。サントリーホールでは、舞台中央にピアノセリがあり、演奏時も奏者はセリ上で弾くことになるのだそうで、これを不安に思う奏者もいることなどを聞いての配慮なのだとか。本当に興味深い話ばかりでした。

こうしたツアーは、他のホールでも開催されているのでしょうか?ぜひ色々なホールのウンチクを聞いて、比べてみたいものです。とても楽しく参加させて頂きました。
これで「遊音地@みなとみらいホール」のシリーズはおしまいです。お読み頂き、ありがとうございました!
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by yuko_kodama | 2019-08-19 05:32 | クラシック音楽の話

遊音地@横浜みなとみらいホール〜その2

みなとみらいホール「遊音地」。
今回は、この日聴いたその他のコンサートについてのレポートをまとめて書きます。

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着いて最初に聴いたのは、パイプオルガンのコンサート。1曲目は誰でも知っているクラシック曲No. 1ともいえるメンデルスゾーンの「結婚行進曲」でした。まるでオーケストラのように大ホールいっぱいに響きわたるオルガンの華やかかつ重厚な音色と、ホールの奥のステージのそのまた後ろのオルガン席に小さ〜く見えるオルガニストの姿が、あまりにも対照的です。あの小さな人影がこの大音響を一人で操っているのです、すごいなあパイプオルガン。2曲目の「赤とんぼ」をモチーフにした曲では、全く違う繊細な音色、音量もぐっと小さくなりました。このあたり、パイプオルガンの楽器の仕組みや音色の話など、少しトークがあると面白かったのになあと思いました。最後は「ウエストミンスターの鐘」をモチーフにした曲。「ウエストミンスターの鐘」とは、学校のチャイムに用いられているキーン・コーン・カーン・コーン(ミ・ド・レ・ソ、ソ・レ・ミ・ド)のあれです。一緒に聴いていた娘に「ほら、学校の!」と耳打ちすると気付いた様子で、現代的な和声の曲でしたが、興味を持って聴けたようでした。3曲で15分。体験コンサートとしてはちょうど良い長さかもしれませんね。
後に参加したバックステージツアーでは、このパイプオルガンにまつわるウンチクもあれこれ聞いたのですが、中でもこのパイプオルガンは日本で最も演奏される機会の多いオルガンの一つであるという話は印象的でした。こうしたミニミニコンサートを含め、出来るだけオルガンを演奏してもらう機会を作るよう、ホール側で欠かさず努力をしているそうです。
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↑パイプオルガンと、後述のビッグバンドのプログラム。

午後は、前回レポートしたギターコンサートを聴いた後、すぐお隣のレセプションルームで行われたウクレレ&パーカッションのコンサートへ。
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こんな感じの明るいお部屋で、横浜港に面した景色が楽しめます。普段はコンサートの後の関係者パーティなどに利用されるお部屋だそうです。写真は開演前の準備中。(屋上庭園で開催の予定でしたが、暑さのため室内に変更されたようです。)
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開演一曲目の「カナリオス」で、もうあっという間にラテンリズム全開の心地良い世界へ連れて行かれてしまいました!
パーカッション奏者の身体の動き、大好きなんです。身体の内側からリズムが溢れてくるようで、見ていてとても気持ちよいです。そこへバロックギターさながらのウクレレを富川さんが乗せて、8分の6拍子と4分の3拍子が入れ替わる楽しいリズムがノリノリで展開・疾走。ウクレレとマリンバはどちらも音が軽やかで優しく、相性抜群でした。富川さんが「カリブっぽい」と表現されていましたが、確かにマリンバとスチールパン、どちらも音程の取れる打楽器で感じが似ていますね。その後演奏された曲も、どれもとても楽しかったです。バックステージツアーの集合時間がせまり、後ろ髪を引かれながら途中退室しました。この組み合わせでメキシコ民謡の「エストレリータ」とか、ラウロの「ベネズエラワルツ」とか、面白そうだなー。鰻の焼ける匂いでご飯をお代わりできる的な、「カナリオス」聴いての妄想コンサートを脳内お代わりして楽しみました。

バックステージツアーから戻って、夕方最後に聴いたのは中高生からなるビッグバンドのジャズコンサート。みなとみらいホール自体が運営しているバンドで、週1回プロの指導を受けながら練習を積んでいるとのこと。とても上手でびっくりしました!時々近所のホールで近隣中学高校の吹奏楽部のコンサートを聴いたりしますが、金管楽器って意外と音程取るのも難しいみたいですよね。そういう基礎がばっちり出来ていて、その上でのアンサンブル。ステージ前方に出てきてマイクの前でのソロ演奏も堂々としていて立派。テンポの良い女子の司会も聞きやすくて好感持てました。近所だったら娘が入会したがったかもしれません。中高生と聞いて、親近感を持って楽しく聴いていたようでした。

前回レポートしたギターコンサートも合わせて、これだけの音楽を楽しんで無料!!横浜市、太っ腹です。ありがとうございます。横浜市民の皆様、返礼品につられてふるさと納税なんかせず、ぜひ税金は横浜市へ納めてくださいね・笑。

次回はいよいよバックステージツアーについて書いて、このシリーズを完結したいと思います。お楽しみに!








by yuko_kodama | 2019-08-15 21:44 | ライブ、コンサートの話

遊音地@横浜みなとみらいホール〜その1

おかげさまで、7月28日のカフェ・コンサートも色々なお客様に楽しんで頂くことができました。ご来場くださった方、行けないけど応援してくださる方、皆さまいつもありがとうございます。

昨日はみなとみらいホールまで、ちょっと足をのばして出かけてきました。普段、横浜駅は毎週レッスンで利用していますが、その先のみなとみらい線を利用することは滅多にありません。みなとみらい駅も初めて降りました。

さて、この日の目的はこれ!
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みなとみらいホールの親子向けオープンイベント「遊音地」!兄弟子ギタリスト富川勝智さんが出演されるということで情報ゲット。
11:00〜16:00のイベント時間中、プロ奏者による15分から30分のミニコンサートがホール内の色々な場所で催される他、中高生ビッグバンドのコンサートや、オーディションで選ばれた小中学生バイオリニストたちの「金の卵コンサート」など、子ども達が出演するコンサートもありました。私も小学生の娘と一緒に、パイプオルガン、ギター、ウクレレ&パーカッション、ビッグバンドのコンサートを楽しみ、さらに朝一番で並んで申し込んだバックステージツアーにも参加できました。とても楽しいイベントで、一回では書き切れないので、まず今回は私にとってのメインイベント、富川勝智さんのコンサートについて書きますね。

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富川さんのソロコンサートは、小ホールでの「名曲コンサート」を鑑賞。富川さんの演奏はこれまで数多く聴いていますが、おそらく「アルハンブラの想い出」と「アストゥリアス」は初めて。どちらもとても良かったです。
「アルハンブラ」はとにかくトレモロの名曲ということで、鑑賞する時もトレモロの粒がどうの、速さがどうの、という話になりがちですが、全体の和声感とか、トレモロの下で動いている中声部と全体を支えるベースラインの立体感などは、意外とこれまで見逃していたかもなあと、その演奏を聴きながらアランブラ(スペイン語ではこの発音です)の景色を思い浮かべました。そこに意識が向くと、当たり前といえば当たり前ですが、何ともスペインな雰囲気の曲!「アラビア風奇想曲」や「ムーア風舞曲」ほどあからさまではないですが、この曲にもターレガが作曲に取り入れたアラビアンテイストが盛り込まれていたのですね。
「アストゥリアス」は、この曲の原題ではありません。もともとは「レイエンダ(伝説)」という副題のついた前奏曲です。この日の富川さんの演奏では、中間部の妖しくも美しい歌い回しがまさに「レイエンダ」。原曲のピアノでは表現できないビブラートやアラストレは、この曲をギターで表現することの魅力と喜びに満ちていて美しかったです。この曲全体を支えるすっきりと伸びのある低音はアルカンヘルならではと思いました。この曲を聴いて面白いなあと思うのは、最後の一音。ジャラーンとフォルテのラスゲアードを鳴らす人、ポンとピチカートでピアニシモにする人、奏者によって全く違って「どれが正解」というのはなさそうです。富川さんの最後の一音も、私の覚えているどれとも違っていました。結局、そこまでどう弾いてきたか、によって導き出される最後の音が決まるのですね。とても興味深いです。

ギターの名曲も色々ありますが、スペインものだけで「名曲コンサート」が成り立つのは、やはりギターという楽器とスペインの関わりの深さゆえです。にも関わらず、最近はスペインらしいギターを聴く機会がどんどん少なくなってきていると個人的に思います。汎ヨーロッパ的なクラシック音楽としてのギターだけでなく、この日の演奏のようなどこを切り取ってもスペインらしいギター演奏も、若い世代の人たちに広く知られてほしいと思っています。











by yuko_kodama | 2019-08-13 14:46 | ライブ、コンサートの話