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武満徹の「うた」The Complete

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5月29日(水)神楽坂TheGleeにて「Acaustic Ladyland(アコースティック・レイディランド~通称アコレデ)」のライブを聴いてきました。アコレデは、ボーカルの石塚裕美さん、ギターの富川勝智さんのお二人によるユニット。当夜のプログラムは、武満徹が残した21曲の“うた”全てを、ボーカルとギター1本で一夜にして披露するという企画で、世界初の挑戦とのことでした。素晴らしいライブでした。

富川さんのギターは、立ち上がりの速いきっぱりとした音で、ポップソング弾こうがハードロック弾こうが、いつでも芯には揺るぎないクラシックギターらしさがあります。今回も、武満の捻りの効いた和声を、前に出てくる音、奥で響く音、中間で漂っている音など絶妙なバランスで弾き分け、とても立体的な表現でした。
「見えない子ども」のモダンな和声でのアルペジオは、エドゥアルド・サインス・デ・ラ・マーサの「プラテロ」を彷彿とさせます。「恋のかくれんぼ」ではギターの間奏がとても印象的。「燃える秋」や「三月のうた」などドラマチックで壮大な雰囲気のうたも、「〇と△の歌」や「明日ハ晴レカナ曇リカナ」のような短くて童謡のように可愛いうたも、ギター1本でよくここまで雰囲気を変えて伴奏できるなあと思います。伴奏がギター1本であることは、引き算の美学でしょうか。シンプルなギターだけの伴奏が、「詩」の世界を際立たせていたように思います。器楽作品をメインに書いてきた武満だからこそ、“うた”を書くにあたって歌詞に重きをおいたことは想像に難くありません。

裕美さんの歌は、歌詞に合わせ、曲に合わせ、様々な声と歌い方を使い分け、その幅広さと奥深さには驚かされます。歌詞に合う声でダイレクトに曲の世界を表現していくことで、前述のとおり詩の世界が際立つことはもちろん、もうひとつ気付いた点は、こういう手法がむしろクラシックの演奏家の姿勢に近いのでは、ということです。楽譜の一音一音に合う音を探して表現する富川さんのギター、歌詞の一言一言をどう歌ったら伝わるか考えぬく裕美さんの歌。だからお二人の相性がいいのかもしれません。そして、当時のクラシック音楽の巨匠作曲家の手によるポップソング、クラシック音楽の語法を用いて、最もクラシックギターらしい音色で奏でられるポップな伴奏、純粋にポップミュージックの世界に育ちながらクラシック音楽のような手法で表現するボーカル。このポップスとクラシックの大変面白い絡まり具合も、アコレデ×武満ならではだったと思いました。

個人的に面白かったのは「ワルツ~他人の顔」。この曲は以前、ヤマハのレクチャーコンサートのために富川さんの手でギター五重奏にアレンジされたものをYouTubeで視聴して、「ワルツ~仮面舞踏会」(ハチャトゥリアン作曲)に似ているなあと思ったのですが、この夜日本語歌詞で裕美さんが歌うのを聴いたら全然違う印象で、いかにもサスペンス映画の挿入歌という仕上がり。ところが、同じ曲をアンコールでドイツ語歌詞で聴いたところ、ドイツ語の硬くてゴージャスな語感がもたらすものなのか、またハチャトゥリアンの雰囲気に近い感じに聴こえたのです。音楽と歌詞のある歌の面白さの真骨頂を聴いた気分でした。

これだけの素晴らしいライブ、準備には相当の労力があったことと思います。Completeでの再演は難しくても、アコレデの最重要レパートリーとして、今後のライブでも披露される可能性があるかな?と期待しております。お聴き逃しになった方は、今後のアコレデライブも要チェックですよ!











by yuko_kodama | 2019-06-03 23:36 | ライブ、コンサートの話
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