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シャロン・イズビン マスタークラス

2011年5月8日、私の通うカルチャースクールの音楽科の主催により、シャロン・イズビンの公開マスタークラスが行われました。私も4人の受講生のうちの1人として、受講させていただきました。

シャロン・イズビンは、多くのコンサートを持ちながら、ジュリアード音楽院で現在も教鞭をとっている、素晴らしいギタリストです。私もNYへ来てから1度、彼女のコンサートへ足を運びました。もうそれほど若くはありませんが、「颯爽と」という言葉がぴったりくる方で、ドレスではなく、ぴったりとしたパンツスタイルで舞台に現れ、それがとてもよく似合っていました。そのときは確か、バリオスなどのロマン派の作品を中心としたプログラムだったと思いますが、ともすれば「大袈裟」とか「しつこい」とかいう類になってしまいそうなところをギリギリの線でコントロールした、絶妙な歌いっぷりが印象的でした。

今回の公開マスタークラスは、1人45分という限られた時間の中でのレッスンでしたが、その内容は時間以上に充実したものでした。さすがに、世界から集まってくるジュリアードの学生さんを教えている先生です。最初の一度の演奏で、曲に対して生徒が抱える問題点の「要」を見抜き、改善方法・練習方法をしっかりとアドバイスしてくれます。聴講生に質問を投げかけるなど、「生徒と2人だけの世界」にならないレッスンは、聞くほうも面白い。単なる「公開レッスン」ではなく、聴講生を巻き込んだ「講義」になっており、しかもほんの5分の超過さえもない、時間どおりのレッスン。ビジネスライクといえばそうなのですが、それを「ビジネスライク」に出来てしまうところが、そもそもスゴイというか・・・。とにかく勉強になった1日でした。

この日の受講生4人のうち、1人は15歳の女の子で中級者といったところ。ほかの2人はステージプロとして実際に活動している方で、演奏レベルも段違いに高いものでした。主催しているスクールの生徒は私だけで、外部から受講者を募ったようでした。

私は、勉強中だったヴィラ=ロボスの「プレリュード第1番」で受講しました。そもそも、あまり練習時間が取れずに、完成とはいえない状態で持っていった曲ですが、練習に行き詰っていた部分をしっかりと見抜いてくださり、「行き止まり」だった道に橋を架け、トンネルを通すようなレッスンを受けることができました。あのままの練習を続けていたとしたら、どんなに時間をかけて練習しても完成はしなかったと思います。
この「プレリュード第1番」を練習していた私の一番の課題は、転調した中間部のPiu mossoで繰り返し出てくる、1・2弦のp指同時弾弦です。どうしても右手の位置が定まらずに、正確に1・2弦だけを捉えることが出来ずにいました。ゆっくりだと出来ますが、速度を上げるとミスが多くなり、メロディラインである1弦の音が聞えなくなることも多かったのです。
イズビン先生の指摘は、「右手を大きく動かしすぎる」というものでした。私は腕を使って弾いていましたが、肝心のp指は力んで硬くなり、ほとんど働いていない状態だったのです。指摘を受け、p指を手首の関節(ナックル・ジョイント)部分から動かすように意識すると、右手の位置が定まり、毎回決まった状態で弾弦できることが分かりました。実は私は、右手の親指の動きには問題を抱えていて、普段のレッスンでもよく注意を受けます。しかし、それと「プレリュード第1番」を弾いているときの問題とが、自分の中では全く結びついていませんでした。いくら練習しても改善しないときは練習方法が悪いのですが、「悪い」ということが分かっても、「ではどうしたら良いのか」が分からない、ということもあります。やはり、良い先生に習うというのは、一番の上達への近道です。
ほかにも、できるだけ摩擦音を立てずにグリッサンドを行う方法をいくつか試したり、不自然だった右手の運指を正したりと、短い時間でしたが、この先の練習の道程に灯をともしていただいたような、勉強になったレッスンでした。

余談ですが、この日の聴講生の多くは受講生の関係者だったようですが、最前列の中央に陣取っていた年配者のグループはなんと、ギターをまったく弾かない人だったようです。(これはイズビンが、「今日の聴講者の中でギターを弾かない人は?」と質問したことから分かったのです。)このように、まったくの素人が有料の聴講チケットを買ってレッスンを聴きに来るというのは、日本だったら考えられないことですね。お金にも時間にも余裕があるのでしょうが、このような専門的なレッスンを聴講しに来て、それを楽しんでいるというのは、なんというか、スゴイことだと思いました。皆さんは、どのようにお感じになりますか?
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by yuko_kodama | 2011-05-28 12:57 | ギター音楽の話