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オペラ二題

夏に、メトロポリタン歌劇場(通称Met Opera)の歌手による屋外リサイタルの記事をアップしましたが、やはり、住んでいるからにはぜひとも劇場でのオペラ公演を見てみたいと願っておりました。今シーズン、念願かないまして、昨年秋と今年2月、2回の公演を見ることが出来ました!!

昨年秋は、近所に住むお友達のお誘いを受けて、平日の夜公演を鑑賞。オーケストラ(1階席)の後方の座席でしたが、劇場のつくりのせいなのか、ステージが遠いという感じはまったくなく、迫力ある舞台を楽しむことができました。演目は「ホフマン物語」(オッフェンバック)。
3幕目の有名なデュエット「舟歌」以外は、まったく知らない演目でしたが、事前にあらすじや見どころ(聴きどころ)を調べて頭に入れ、当日は座席前に表示される字幕を頼りに鑑賞。オペラ初心者の私でしたが、とても楽しく鑑賞することができました。タイトルロールはテノールのジュゼッぺ・フィリアノーティ。私は歌手に詳しくないので比較・批評はできませんが、とても美しい声でした。純粋で繊細な、そしてどこか退廃的な詩人の雰囲気がよく感じられる歌だったと思います。素晴らしい歌を聴くと、「すべての楽器の究極の目的は、人間の歌を模倣することですよ」とレッスンで仰っていたギタリスト、ハビエル・ガルシア・モレーノの言葉を思い出します。楽器という媒体を通さない、それだけのことですが、直接的な感情表現という面において、やはり人間の歌を超えるものはないように私も思います。(ただし、人間には出来ないことを可能にするのもまた、楽器なのですが。)
舞台装置や衣装は、どれも物語が分かりやすく、素敵なものでした。特に、第二幕で、二枚の垂れ幕を用いただけで冬枯れの景色を演出していたのが、とてもモダンで美しかったです。三幕のヴェネチアの娼館の場面では、かなりエロチックな衣装のバレエダンサーが出てきてびっくりしましたが(笑)。
とにかく、たとえ音楽や物語を知らなくても、オペラってこんなに楽しめるんだ!!と実感した、私のMet Opera 鑑賞デビューでした。

2回目はつい先週、2月21日の夜公演。この日、アメリカは祝日です。お天気が良くないので、特別何もすることがないね・・・なんて話しながら、テキトウにインターネットを見ていたところ、なんとこの日のMet Operaはプラシド・ドミンゴが出演している!!ということで、急遽チケットを買い求め、一人で観て来ました。演目は「タウリスのイフィゲニア」(グルック)。はて、そんなオペラの演目あったかしら??というような演目でしたが、とにかくドミンゴに会いたい(もちろん客席から聴くだけ)一心だったわけです。
正直に結論からいうと、これはオペラ初心者にはかなり難しい演目でした。とにかく、知っているメロディーもアリアも全然ない。ストーリーはギリシア神話を下敷きにしたもので、ベースとなるトロイ戦争の神話から調べないと、オペラのあらすじだけ調べても片手落ちらしい。そのうえ、全4幕をとおして、舞台はひたすら神殿と隣接する牢屋(?)のみで、場面転換はゼロ。目にも耳にも、ちょっとした忍耐が必要な感じでした。
でもでも、やはりドミンゴは素晴らしかった!!ついでに言うと、ドミンゴが演じたオレステの親友であるピラード役を演じたポール・グローヴズも素晴らしかった。2人は同じテノールですが、声は全然違った印象で、それはもしかしたら年齢の違いから来るものなのかもしれませんが、ドミンゴの深くて陰影にとんだ、そして情感豊かな声と、グローヴズの柔らかく気持ちの良い声が好対照でした。2人が「お前のためならオレが死ぬ!!」と歌いあう4幕の場面はとても感動的でした。
この日の座席は、4階のバルコニー2列目。最上階なので、ものすごい高さから舞台を見下ろしている感じで、高所が苦手な私は客席についてしばらくは心拍がかなり上がっていたと思います(笑)。しかし、会場が暗くなり舞台のカーテンが開くと、アラ不思議。舞台を見下ろしているという感じがあまりないのです。座席の料金としては、オーケストラの最後方と同じくらいの料金なので、悪い席ではないと分かっていたのですが、あの高さでこれほどの臨場感を得られるというのは驚きでした。ドミンゴ氏、御年70才。とにかく現役で歌っているうちに生で聴けたことが、幸せでした。

オペラ、もう何回か行けたらいいな~。
とりあえず、リンカーンセンター(Metオペラハウスを含む、複合音楽施設)のバックステージツアーがあるようなので、いつか参加してみたいと思っています。
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by yuko_kodama | 2011-03-01 13:48 | クラシック音楽の話