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添付CDの功罪を考える

とうとう現代ギター誌までもか・・・という思いを禁じ得ません。先日手元に届いた「現代ギター」誌5月号に、誌上で解説された楽曲の譜例や添付楽譜の参考演奏の録音されたCDが添付されていたことです。

最近、店頭で見かけたり生徒さんが持参したりする曲集を見ていると、楽譜の下にタブ譜が書かれ、さらに参考演奏のCDが付いているものが多いと感じられます。ギター愛好家が増える中、そうしたニーズが多いに違いありません。
添付CDが必要ないとか悪であると、一口に言うつもりは毛頭ありません。趣味でギターを弾く愛好家の多くは、ギターを弾くことが楽しいのであって、ソルフェージュや読譜の訓練にまで手がまわらないのは当然です。添付CDやタブ譜は、読譜にかかる時間を短縮して、ギター演奏を容易にする手助けをしてくれると思います。

問題は、本当は「参考演奏」であるはずのCDの演奏を、「至上のお手本」と勘違いしてしまうことです。レッスンをしていて、生徒さんに演奏表現上の理由を尋ねたときに、「付いていたCDの演奏がそうなっているから」という答えが返ってくるのは、とても残念なことです。読譜力が未熟であっても、参考CD1枚のみに演奏表現をゆだねてしまって良いとは思えません。その演奏がカッコイイと思ったら真似をしても構わないとは思いますが、その演奏家がどうしてその表現手段を選んだのか、楽譜と照らし合わせて考える手間くらいはかけるべきでしょう。
余裕があれば、オリジナル作品ならば他のギタリストが演奏している音源を探したり、編曲物であればオリジナルを聴くなど、同じ耳からの情報であっても、添付CDのみに依拠することなく、広い選択肢から自分の演奏を考えられたら良いのではないでしょうか。さらに勉強が進んでくれば、こうした経験をもとに、楽譜から自分の表現を模索できるようになると思います。

添付CDは便利です。でも、それがすべてではありません。あくまでも「参考」として捉えて、うまく活用することが必要だと思います。
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by yuko_kodama | 2007-04-25 00:16 | ギター音楽の話

富川勝智ギターリサイタル

4月20日(金)、現代ギター社のGGサロンに、富川勝智さんが満を持しての登場です。

宣伝チラシのプログラムを拝見したときから、ぜひとも聴きたいと思っていました。スペイン物で統一された、なんともお洒落なプログラム。どれも、実演に接する機会は多くないけれど、名曲ばかりです。そして当日、期待どおりの素敵なコンサートに大満足でした。

一言で言うと、「洗練」といった感じでしょうか。富川氏のセンスの良さが随所に表れていました。それは、もちろんプログラムであり、さらには楽曲の表現~フレージングや息遣い、それに芯のある温かいギターの音色・・・。特に、プログラムにおいては、「カスティーリャに始まり、バルセロナ、バレンシア、アンダルシアとスペインを一周するコンセプト」と明かされて納得。どれをとっても、「オンリーワン」と言えるものだと感じました。

1曲目は「カスティーリャ組曲」(モレーノ=トローバ)。出だしのファンダンギーリョには多少の緊張が見られたものの、続くアラーダの歌い出しの美しさと言ったら!ため息が出るようです。ゆったりとした歌と呼吸の間を、伸び伸びとした音で優雅につないでいきます。そして終曲の舞曲。緊張感が微塵も途切れることなく、特性的なリズムを表現して一気に聴かせ、1曲目から聴衆を自身の世界に引き込みました。
2曲目は同じくトローバの「特性的小品集」。全曲を生で聴くのは初めてのことで、ドキドキします。カスティーリャ地方の舞曲のリズムを取り入れたもの、民謡風と思われるものなど、様々なモチーフを散りばめながら、全曲を通して聴くことで初めて感じられる統一感を実感しました。やはり生の演奏の説得力はスゴイ。それぞれの曲の「特性」をうまく表現しているのは、やはり、かの地を実際に知っている強みでしょうか。さらに、前に弾かれた「カスティーリャ組曲」との組み合わせの妙。「カスティーリャ」というトローバの故郷を切り口としてその作品を並列することで、この作曲家の本質と魅力を十分に伝えることが出来たのではないかと感じました。
前半最後の1曲は、ブロトンズの「スケルッツォ Op47」。私は以前に一度、富川氏の演奏を聴いたことがあるのですが、初めての人にはびっくりするような曲であることは間違いないでしょう。現代曲ですが、非常にギターの特性をうまく伝えている作品で、現代的ではあっても聴く者を拒絶するような曲ではなく、むしろギターの可能性や面白さを伝えているのではないかと思います。(ギターとは縁のない私の母がはじめてこの曲を聴いたときに「面白い!」と喜んでいたのですから。)しかし、その魅力を十分に伝えているのが、奏者の力量であることには疑いがありません。イントロのハーモニックスの音が不明瞭だったのが少し残念ではありましたが、そのハーモニックスも、再現部では縦横無尽に曲の中を駆け回る表現になっていて、この曲の持つインパクトの強さとギター表現の面白さを楽しむことができました。

後半の演奏は、アセンシオの「バレンシア組曲」からスタート。アセンシオといえば「内なる想い」が有名で、「バレンシア組曲」は、私は録音でも聴いたことがなく、楽しみにしていた1曲です。そして、演奏は期待にたがわぬ素晴らしいものでした。アセンシオに独特の、不思議な深みを持つ和音が、氏の美しい音色でよどみなく構成されていきます。バレンシアを知らない私ですが、その美しい演奏は、安易な視覚的なイメージではなく、深い精神性を連想させるものでした。難曲とは思いますが、再演を切望します。
プログラム最後に演奏されたのは、E.S.デ・ラ・マーサの組曲「プラテーロと私」全曲。ノーベル文学賞を受賞したフアン・ラモン・ヒメネスの散文詩「プラテーロと私」に着想を得て作曲されたこの曲は、楽譜の冒頭に、楽曲に相当する部分の散文詩が書き添えられています。演奏は、その風景に違わぬ色彩鮮やかなものでした。とりわけ、冒頭の「プラテーロ」の幻想的な中間部や、「死」における冒頭のモチーフの劇的な再現が感動的でした。もちろん、「狂人」や「ダルボン」「亀」などでの、ちょっと不思議感が漂う曲想もまた面白く、最後の「故郷に眠るプラテーロ」まで、どっぷりと詩の世界を味わうことができました。

アンコールは「ラグリマ」(ターレガ)と「エストレジータ」(ポンセ)の2曲。特に、亡き師匠ホセ・ルイス・ゴンサレスの愛奏曲でもあった「エストレジータ」では、富川氏の歌心溢れる演奏に大感動。こういう、ため息の出るような表現がアンコールに出てくるっていうのは、本当にスゴイと思うのです。
ライブハウスなどでの活動も多い富川氏ですが、ぜひまた、こうした大曲の聴けるリサイタルを期待したいと思います。お疲れ様でした。


GGサロンコンサート「富川勝智リサイタル」
2007年4月20日(金) GGサロン 19:00

♪program
(第一部)
・カスティーリャ組曲(F.モレーノ=トローバ)
<Ⅰファンダンギーリョ Ⅱアラーダ(耕し歌) Ⅲ踊り>
・特性的小品集(F.モレーノ=トローバ)
<Ⅰプレアンブロ(序曲) Ⅱオリーブ畑 Ⅲブルガレサ Ⅳ5月 Ⅴ夜明けの唄 Ⅵパノラマ>
・スケルッツォ Op.47(S.ブロトンズ)

(第二部)
・バレンシア組曲(V.アセンシオ)
<Ⅰプレリュード Ⅱカンツォネッタ Ⅲ踊り>
・組曲~プラテーロと私(E.S.デ・ラ・マーサ)
<Ⅰプラテーロ Ⅱ狂人 Ⅲ屋上 Ⅳダルボン Ⅴ散歩 Ⅵ亀 Ⅶ死 Ⅷ故郷に眠るプラテーロ>
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by yuko_kodama | 2007-04-23 00:11 | ライブ、コンサートの話

目白バ・ロック音楽祭

先日の朝日新聞の文化欄に、ここで紹介した「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン~熱狂の日音楽祭」と並んで紹介されていたのが、「目白バ・ロック音楽祭」。東京・目白を舞台に、中世からバロック時代の音楽を取り上げるこの催しは、東京の二大音楽祭として根付くのでしょうか。注目です!

「バ・ロック」は造語で、目白という「場」に、「ロックな」(先鋭的な)人が集まるという、この音楽祭のイメージを表すとのこと。いわく、「古ければ古いほど新しい」。面白そうです。

そもそも、目白という街を私はよく知らないのですが、この音楽祭の特徴は、街の散策も含めて企画されているという点のようです。コンサートの会場も、「東京カテドラル聖マリア大聖堂」「聖母病院チャペル」「目白聖公会」などの教会施設から、「立教大学第1食堂」なんていうところまで。案内によれば、目白にはこれら歴史的に価値のある建築が多いそうです。宗教ときっても切れない関係を持つ中世~バロックの音楽を、教会などの場で聴けるというのは貴重だと思います。さらに、付近の商店街が協賛した企画もあるそうで、音楽だけでなく、「目白」という街そのものを楽しむといった感じの企画になっています。ぜひ出かけてみたい!

詳細は公式ホームページからどうぞ♪
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by yuko_kodama | 2007-04-19 20:48 | ライブ、コンサートの話

しまった!

毎年このブログで紹介してきた春の一大音楽イベント「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」。それを、今年はすっかり忘れていたんです!!チケットの売り出される2月頃は、3月のライブの準備に明け暮れていたからでしょうか。えらいこっちゃ。

慌てて公式HPで調べてみました。→こちら
話題のアーティストが出演する公演や人気の演目は、やはりチケットの売り切れが目立ちます。でも、モーツァルトブームに沸いた昨年に比べれば、残席のある公演もあるみたい。早速スケジュールと相談しながら、どんな公演を聴きに行こうかとわくわくしています。

今年のテーマは「民族のハーモニー」。もちろん大好きなスペインものの演目には惹かれますが、自分からはあまり聴きに行かないような作曲家の曲も、この機会になら聴いてみたいなと思わされます。この「ちょっと行ってみようか」という気軽な雰囲気こそ、この音楽祭の最大の特徴でしょう。

さて、何を聴こうかな♪
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by yuko_kodama | 2007-04-13 15:40 | クラシック音楽の話

おすすめコンサート

d0030554_032192.gif私の尊敬する師匠、手塚健旨先生と、ピアニストの高木洋子さんの、1年ぶりのコンサートです。
その名も『アランフェス協奏曲』と題されたコンサートの目玉は、もちろん、「アランフェス協奏曲」(ロドリーゴ)の全楽章演奏です。映画音楽としても有名になった第2楽章は聴く機会も多いですが、全楽章となると楽しみがまた一段と増します。
今回はその他にも、ピアノとギターのために新たに編曲されたシューベルトの「セレナーデ」や「楽興の時」、日本舞曲「さくら」などもあり、ピアノとギターという組み合わせが存分に楽しめそうです。
さらに、とても楽しみなのがピアノに編曲された、ターレガの「アラビア風奇想曲」!一体あの曲がどんなアレンジによってピアノに再現されるのか、聴くまでは想像がつきません。

詳細は下記のとおり。
ぜひご予約のうえ、お出かけください♪

手塚健旨&高木洋子リサイタル
『アランフェス協奏曲』
5月25日(金) 18:30開場 19:00開演
アートフォーラムあざみ野
(東急田園都市線、横浜市営地下鉄 あざみ野駅下車 徒歩5分)

お問合せ・ご予約
カンパニージャ 03-3728-4350/044-854-6637
入場料 ¥3,000 (当日 ¥3,500)
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by yuko_kodama | 2007-04-10 00:46 | ライブ、コンサートの話