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第48回 東京国際ギターコンクール

11月26、27日の二日間にわたって行われた「第48回 東京国際ギターコンクール」を観戦してきました。第二次予選は後半9人、本選は選出された6人全員の演奏を聴きました。以下に、私的な感想をまとめました。あくまでも個人的な感想です。

<予選>
確実に本選に通るであろう飛びぬけた実力を示す人がいる一方で、ボーダーライン上に多くの演奏者がいたと思われる。ここで問題となるのが演奏上のミス。毎度考えさせられるのが、ミスに対する審査員の厳しい評価である。結局は、魅力的な音色や表現よりも、無難にノーミスで弾き終えた者が通過した、というのは今年も感じた印象。明らかな読譜ミスや、立ち止まっての弾きなおしに対する減点評価はやむをえないと思うが・・・「音楽を聴く(楽しむ)」立場である私の好みは、コンクールの採点とは必ずしも一致しない。

<本選>
演奏順に感想を一言づつ。

・Laura KLEMKE (ドイツ)
丁寧な演奏だが、全体に音が小さくて客席まで届かない。主旋律以外の声部がほとんど聞こえず、音楽が平面的に感じられた。 (第6位)

・Jan DEPRETER (ベルギー)
タキシードで正装して登場。大変優雅な動作で、ステージ慣れしているのがマナーで分かる。その様子はまるで、背景にバラが飛んでいるような雰囲気・・・(笑)。甘く明るい音色で、それぞれの時代の曲を的確な表現で演奏した。 (第2位)

・Samel T. KLEMKE (ドイツ)
最初に登場したLauraの兄だそうだ。ミスのない演奏だが、全体的にこぢんまりとしていて地味な印象だ。(第4位)

・Artyom DERBOED (ロシア)
ギターレストを用いて楽器を高い位置に構える姿勢が特徴的。時折、メロディーに合わせて口が動くので、歌っているのだろう。とても表情豊かな演奏だが、ダウランドやアグアドも同じスタイルで弾いては、あまりに恣意的に過ぎるのではないだろうか。現代物では素晴らしい力を発揮した。(第3位)

・Meng SU (中国)
予選から、テクニック、表現ともにずば抜けた力をアピールしていた。本選では、バッハが大変美しく印象的。芯のある音色でダイナミックレンジも広い。ただ、メルツ「ハンガリー風幻想曲」などは、ちょっと「やり過ぎ」な感も否めない。奇抜な表現でアピールするよりも、バッハで見せたような直球での勝負(演奏)を聴いてみたい。個人的には、課題曲の演奏が本選出場者中で最も良かったと思う。(第1位)

・Edward TRYBEK (アメリカ)
予選、本選をとおして、なぜか印象が薄い演奏者であった。ミスなく堅実な演奏ぶりなのだが・・・。相性が悪いのかな。 (第5位)


以上が二日間の感想です。ずいぶん厳しい感じのコメントになってしまいましたが、大変ハイレベルでの争いでした。その中での比較なので、下位の演奏者も素晴らしい力を持っていたことに疑いはありません。

私がコンクールを観戦するときの基準はただひとつ、「その演奏者のリサイタルを聴きたいか」という単純な評価です。単純ではあるけれど、コンクールが優れた演奏家を世に送り出すための手段ならば、そうした視点もあってよいと思います。
コンクール観戦を楽しみにしている聴衆は、みなそれぞれの基準で演奏者に順位づけをしていると思います。例えば、「聴衆賞」のようなものがあったらどうでしょう?特に本選通過にあたっての厳しい審査員評価と聴衆評価との比較などは、興味深い結果を示すような気がします。そんな企画、あったらいいなー。
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by yuko_kodama | 2005-11-27 23:13 | ライブ、コンサートの話

宮下祥子を聴く会

去る10月22日に催された「宮下祥子を聴く会」と題したコンサートのレポートです。

宮下祥子さんは札幌在住の女流ギタリストで、今春にはファーストアルバム「passion」を発売。才能溢れる若手ギタリストの一人です。
(CDはこちらで試聴できます!→ホマドリーム

アルバムをほぼ発売と同時に買って、その出来の素晴らしさに感動。今回の演奏会にはぜひとも足を運ばなくてはと思って出掛けました。今回の使用楽器は、2003年製のアルカンヘル・フェルナンデス。ご本人は、「まだ慣れていないので、楽器に合わせたタッチなどを研究中」と言っていらしたのですが、そんなことは微塵も感じさせない演奏でした。

演奏はプログラムの説明などを交えながらの、なごやかな進行。お話される様子からは、少し緊張している感じがうかがえましたが、演奏は完璧。この「完璧」さですが、ただ単にミスがない、という意味ではなく、楽譜をスミからスミまで読み込んで、丹念に色をつけ、表情をつけて構築された、完成度の高い音楽を感じさせる「完璧」さです。そしてそれは、考え抜かれてありながらも決して冷めたものではなく、「passion」を感じさせるものでした。
中でも、ロドリーゴの「祈りと踊り」や、ブローウェルの「ソナタ」は本当に素晴らしかった。

プログラムが進むにつれて、楽器がどんどん鳴ってくるのが手に取るように分かるのは、今回のような小会場ならでは。やはり、ギターは大ホールで聴くより間近で聴きたい楽器なので、こうした機会は貴重です。

宮下さんの演奏は、近年、東京近郊で演奏される折にはできるだけ聴きに行っていますが、そのたびに驚くほどの進化をとげている。次の機会が今から待ち遠しいです。今後の一層のご活躍をお祈りいたします。

♪program
・アラビア風奇想曲(F.タレガ)
・スペイン舞曲第5番「アンダルーサ」(E.グラナドス)
・ヘネラリーフェのほとり/小麦畑で/ 祈祷と踊り(J.ロドリーゴ)
・武満 徹 編「ギターのための12の歌」より  
・ソナタ(L.ブローウェル) 
・アランブラの思い出(ターレガ)
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by yuko_kodama | 2005-11-23 01:04 | ライブ、コンサートの話

マリア・エステル・グスマン ギターリサイタル

去る10月15日(土)、16日(日)に行われた、マリア・エステル・グスマンのリサイタルのレポートです。

余談ですが、私はグスマンに師事していたこともあり、東京近郊での彼女の演奏会には、ほとんど追っかけのように顔を出しました。合奏団の合宿を兼ねた北海道旅行中の演奏会も含めれば、来日中に計5回のコンサートを聴いたことになります。どれもが、最高に素晴らしいパフォーマンスであり、彼女の抜群の安定感を実感しました。

15日(土)は東京、トッパンホールでのリサイタル。
超難曲ぞろいのプログラムは下記を参照して頂ければ分かるとおりですが、そのどれもが、単なるテクニックのアピールではなく、高い音楽的な完成度をもって演奏されたことが印象的です。バッハはあくまでも荘厳に進み、椿姫はオペラらしい華やかさに満ちている。圧巻は、リョベートの2曲。スケルツォ・ワルツは、まるでショパンのピアノ曲を思わせるような洒落た演奏、変奏曲では19世紀らしいヴィルトゥオーソを披露してリサイタルを締めくくりました。

16日は横浜、杉田劇場にて。(共演:高木洋子 Pf)
前半がギターソロで、休憩をはさんだ後半はピアノの高木洋子とのデュオ。井上勝仁編曲によるアルベニス作品は、ピアノ・オリジナルの良さと、ギター編曲による雰囲気の良さの両方を欲張りに追求した名編曲と思われます。演奏は二人の呼吸がぴったり合った素晴らしいもので、特にピアノの徹底したボリュームコントロールと、抑制されながらも美しい歌いまわしは印象的。「アランフェス」は、この二人の演奏をもう何回も聴いているのですが、聴くたびに「進化」しているような気がします。すっかり手の内に入った風でありながら、かつ新鮮。遠出をした甲斐のある演奏会でした。

<Program>
♪10月15日(土) 東京:トッパンホール
・2つのソナタ (D.スカルラッティ)
・リュート組曲第4番 (J.S.バッハ)
・ドゥルシネアとアルドンサの騎馬行進 (トマス・マルコ)
・3つのプレリュード、メヌエット、
「椿姫」の主題による幻想曲、アランブラの想い出 (F.タレガ)
・スケルツォ・ワルツ、ソルの主題による変奏曲 (M.リョベート)


♪10月16日(日) 横浜:杉田劇場
・3つのプレリュード、マリエータ、マリア、メヌエット、
「椿姫」の主題による幻想曲、アランブラの想い出 (F.タレガ)
・ドゥルシネアとアルドンサの騎馬行進 (トマス・マルコ)
・グラナダ、コルドバ、セビーリャ (I.アルベニス~井上勝仁編)*
・アランフェス協奏曲より第2楽章 (J.ロドリーゴ)*

*共演 高木洋子(Pf)
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by yuko_kodama | 2005-11-10 22:57 | ライブ、コンサートの話

リニューアル

ひと月あまりの間、ブログ更新ができずにいましたが、本日からまたぽつぽつと書き始めたいと思います。画面は秋模様に一新し、カテゴリーも分類整理いたしました。今後は、日記風というよりも、音楽に関する話題を中心に書こうと思っています。

カテゴリーは、下記のように整理しました。

・ギター音楽の話 ---- ギターに関する話題を分類
・クラシック音楽の話 ---- ギター以外のクラシック音楽に関する話題
・ライブ、コンサートの話 ---- 私が出掛けたコンサートのレポートなど
・ギター教室の話 ---- 講師をつとめる教室の話題やレッスンの話
・メディア(番組・記事)紹介 ---- 新聞、テレビ、ラジオなどで見つけた音楽関係の話題
・その他の話 ---- 上記に分類できない話題です。

「ギター音楽」と「クラシック音楽」を分けることについては、けっして「ギター音楽」がその他のクラシック音楽と異なるものという認識からではなく、あくまでも便宜上の分類です。自分がギターという楽器を演奏する以上、どうしてもギター関連の話題が多くなると思ったので。

毎日更新とはいきませんが、10月の話題も時間を見て書き足すつもりです。今後も様々な音楽と向き合うことを大切に、思うところをつづっていきたいと思います。どうぞお付き合いください。
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by yuko_kodama | 2005-11-08 23:47 | その他の話