富川勝智&池田慎司 クラスタライブ

すっかり更新が久しぶりになり、気が付けば9月になって1週間が過ぎてしまいました。ずいぶん以前のことになってしまいましたが、印象深いライブの感想です。

8月21日は、国分寺のクラスタにて行われた池田慎司・富川勝智両氏のジョイントライブに出かけました。それぞれのソロあり、気の合ったデュオあり。プログラムも古典、スペインもの、ブラジルもの、さらには武満徹作品など、幅広く音楽性をアピールできる内容です。
池田氏のギターは、昨年聴いたときよりもさらにまろやかさの加わったロマニジョス。対する富川氏は言わずと知れたアルカンヘル・フェルナンデスです。楽器そのものの音色は、こくとまろやかさのロマニジョスに対して、切れ味と深みのアルカンヘルといった感じですが、奏者の特徴は、切れ味鋭いテクニックと抜群のリズム感を持つ池田氏に、温か味のある音色に色気たっぷりの歌いまわしで聴かせる富川氏と、これまた好対照。その二人のデュオは、これらの特徴がほどよく混ざり合い、刺激し合ってできる極上のバランスが素晴らしかったです。特に、武満徹の「ヒロシマという名の少年」での、曲にこめた想いが伝わる熱演や、アルベニス「椰子の木陰にて」での心地良い力の抜け具合を感じるハバネラのリズム、ソル「斬新的にして容易なる二重奏曲」における古典とロマン派の境を漂うような美しい演奏が印象に残っています。私も二重奏が大好きですが、1+1を2で終らせないこの二人の演奏には、おおいに刺激を受けました。

この日は、終演後も盛り上がりました。お客さんとして聴きにいらしていたボサノヴァシンガーのd0030554_2321149.jpg山本のりこさんが、ブラジル音楽ではCDも出している池田氏とセッションをしてくださったのです。山本さんの歌声とポルトガル語の美しいことと言ったら!以前にレッスンを受けたスペイン人ギタリストのハビエル・ガルシア・モレーノ氏が「どんな楽器も、最終的には人間の声(歌)を再現することを目的に作られているんだ。」と言っていたことを思い出しました。ずっと聴きたくなってしまう、素敵な歌でした。
普段ボサノヴァに縁のない私は、恥ずかしい話ですがボサノヴァシンガーというのはいわゆるボサノヴァ(「イパネマの娘」みたいな)だけを歌ってるものだと思っていたのですが、山本さんは池田氏のレパートリーをどんどん歌ってくださり、その範囲は私の頭にあったボサノヴァの範囲を大きく超えるものでした。スキャットで歌ってくださった「リオの散歩道」や、さわりを聴かせてくださった「ブラジル風バッハ」、はては武満徹の「翼」まで。その音楽の幅広さに感動です。
歌に合わせた池田氏のギターは、ソロで弾いていたときの鋭さが影をひそめ、まるでポルトガル語のやわらかい響きがギターに乗り移ったかのような軽やかな演奏に。その反応の速さにも驚きました。富川氏・池田氏と山本さんとの間で花の咲いた音楽談義も、とても興味深く、勉強になることばかりでした。帰りが遅くなり、途中駅からタクシーでの帰宅となりましたが、それでもお釣がくるくらいの素敵な夜でした。
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by yuko_kodama | 2007-09-07 23:15 | ライブ、コンサートの話
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