「できない」と言わない!

私の教室は「趣味の」「はじめての」ギターという看板を出していることもあり、圧倒的に初心者の割合が高いです。たとえ楽器経験がなくても、楽譜の読み方からスタートしたとしても、年齢がいってからであっても、毎週のレッスンを楽しみにやって来て下さる方たちの中に、上達していない人はいません。

ところで、レッスンをしていて、「先生、そんなことできません。」という言葉を聞くことがあります。当然、勉強が進んでくれば、簡単に出来ることばかりではなくなります。そんなとき、私は、留学中の師匠の言葉を思い出します。

私がレッスンを受けていたマリア・エステル・グスマンは、教師としても素晴らしい人でしたが、それよりも前に、世界でも一流のコンサートギタリストでした。幼いときから舞台に立ち、セゴビアやロドリーゴといった巨匠たちからも賛辞を寄せられたほどの彼女は、技術的にも音楽的にも抜きん出た才能をもっていて、私から見れば、その演奏は雲の上のもののようでした。当然レッスンでの要求もレベルの高いものでしたが、当初私は、「そんなこと言われても、私くらいの生徒には出来なくても当たり前!」なんて思っていたこともありました。そのような気持ちが表に出て、ある時つい、苦笑いをしながら「出来ません~!(No puedo!)」と言ってしまったのです。
レッスンはいつもなごやかでしたが、それを聞いた彼女の表情は厳しいものに変わりました。「出来ない、という言葉は、絶対に言ってはいけない」。真剣な言葉でした。「出来ない」と言った瞬間、人間は努力をあきらめてしまうのだ、と。それは、自分の可能性を閉ざしてしまうことに他ならないのだ、と彼女は言葉を尽くして説明してくれました。

勉強していれば、難しいこともたくさんあるでしょう。不可能と思えることもあるかもしれません。でも、「出来ない」と思ったら最後、進歩はありません。そして、教師からみれば、生徒の言う「出来ない」は、ほとんどの場合、思い込みでしかないのです。(教える立場となった今、そのことがはっきりと実感できるようになりました。)

レッスンを受けていて、「先生できません!」と言ってしまったことはありませんか?それは、とてももったいないことです。「とても難しいけれど、やってみる」という言葉に変えた瞬間、きっと不可能が可能になるはずです。私自身も、この言葉を支えにして、日々頑張りたいと思っています。
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by yuko_kodama | 2007-01-24 00:22 | ギター教室の話
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