人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ラス・マノス 2ndCD発売記念コンサート

すっかりレポートが遅くなりました。
11月23日(木・祝)、荻窪の名曲喫茶「ミニヨン」で行われた、ラス・マノスのコンサートへ行ってきました。デュオを組む富川勝智氏と湯川賀正氏は、2人とも手塚健旨先生の下で学んだ私の兄弟子にあたる方たちです。昨年第1作目のアルバムを発表し、今年、2作目の発売を記念して2回目のコンサートが行われました。

同じ製作年のアルカンヘル・フェルナンデスを愛用する二人ですが、全く同じ演奏スタイルというわけではありません。それぞれが強烈な個性を発揮しながらも、その着地点は同じところにある、といった雰囲気が感じられます。その中で、何と言っても素晴らしいのは、2人の音色の美しさです。楽器そのものの良さはもちろんのこと、そのポテンシャルを生かしきる深いタッチから生れる艶やかな音色は、ギター本来の魅力を伝えて余すところがありません。
富川氏は、「色気たっぷり」の豊かな音色と歌いまわしで、聴衆をうっとりと惹きつけます。対する湯川氏は、どちらかといえば「朴とつ」とも言える素朴な表現の中にも、確かなリズム感やノリを保っていて、決して「色気」に引けをとらない存在感。その二つの個性のバランスがなんとも言えず、気持ちよく感じられました。
プログラムも、2人ならではのセンス溢れるもの。「さくら」や「宵待ち草」といった親しみやすい曲から、クレンジャンスなどのしゃれた作品まで、どれもこれも新鮮味たっぷりで、最後まで飽きさせません。クレンジャンスの「インベンション」では、シンプルでロマンチックな曲の美しさが、持ち前の音色の美しさを一層引き立てて、当夜の演奏プログラムの中でも秀逸でした。また、普段ビートルズバンドのギタリストとしても活躍する湯川氏ならではの表現が感じられたビートルズナンバーも良かったと思います。
途中、余興的に演奏された湯川氏のウクレレが、聴衆の緊張感を取り去って、場が一気になごやかになり、楽しいコンサートとなりました。
2人は、来年3月に横浜、大倉山記念館でのコンサートを予定しているとのこと。ぜひ息の長い活躍を期待したいと思います。

♪Program
・作品55「斬進的にして容易なる3つの二重奏曲」より第一番 (F.ソル)
・パークニング編 「3つのデュエット」
ラ・ロシニョール/ドゥーリーズ・アコーズ/カノン
・アンデス風ソナタ (J.セナモン)
・ミラージュ/オルゴールの箱が開くとき (F.クレンジャンス)
・「3つの世界のメロディ」~湯川・富川編
チム・チム・チェリー/雨にぬれても/第三の男
・作品76「2台のギターのための10のインヴェンション」より第1番~第5番
・「3つの日本のメロディ~湯川・富川編
さくらさくら/宵待草/雪の降る街を
・フール・オン・ザ・ヒル/ペニーレーン (レノン=マッカトニー~ブローウェル編)
by yuko_kodama | 2006-12-01 20:48 | ライブ、コンサートの話
<< ヴルフィン・リースケ氏 スペインのフォリア >>