富川勝智ライブ「冬の陣」@inF

1月29日(日)、大泉学園のライブハウス「inF」での富川勝智さんのライブを聴いてきました。前回は11月、とても良いライブでしたので今回も心待ちにしていました。

今回は前回よりも一層良かったです。プログラムの構成も前回の良い部分を踏襲しつつ、より前半のソロと後半の歌とのアンサンブルに関連が感じられる内容になっていて、演奏はもちろん「聴いてうっとり」ですが、その上で「ああ、勉強になるなあ」という部分がたくさんありました。

前半は富川さんのギターソロ。アルカンヘルの重量感を感じさせる音色はいつもながら素晴らしく、そして、それ以上に時代や様式の変遷をはっきりと弾き分ける表現の奥深さは富川さんならではと思いました。

前半特に素晴らしかったのはポンセの「エストレリータ」。この曲は、富川さんのスペインでの師匠ホセ・ルイス・ゴンサレス氏の愛奏曲で、直伝の演奏はいつも胸がキューンとなる感じですが、この日の演奏はこれまで数聴いてきた中でも最高のひとつと感じました。一音一音、どの音も全く無駄も隙もない、という感じ。音色、音量、他にも言葉に出来ない「ここでこの音」という感覚すべてがはまっていたような感じで聴き入っていました。もちろん人によって好みの差はありますが、私にとっての

“ああ、クラシックギターってこういう風に弾きたいのよ!!!”

という演奏でした。

さらに、ソルのエチュードから「富川セレクション」なる10曲。いかにも古典から初期ロマン派という上品な様式を表現する演奏で、練習曲がステージ映えする名品に早変わりしました。私もソルの練習曲は常々生徒さんたちに「これはステージで弾くに耐える名曲です」と言っていますが、本当に素敵な曲ばかりでした。中にはセゴビアの20曲や全音エチュード集などにも採られていない、あまり弾かれないものもありましたが、すべての曲が魅力的でした。「真似してもいいですか?」という私の問いに快く了解を頂きましたので、いつか私も「ステージでソルのエチュード」実現したいです。(これをこんな風に聴かせるのはほんと難しいんですけどね。)

後半は歌の藤沢エリカさんとのアンサンブル。エリカさんの歌は、オペラとは違うけれどフラメンコのカンテとも違う。。。古楽をメインに活躍されている方ですが、スペイン民謡素晴らしいです。今回はソルのセギディージャ集も新たに披露されましたが、前回も演奏されたタラゴー編スペイン民謡がやはり良かったです。何がいいって、このギターパートがいいんですよね。一般的に歌とギターというと、やはり歌が旋律、ギターが和声になります。ソルのセギディージャ集もそんな感じ。アンコールで演奏されたソルの歌曲は、そのまま歌パートをギターで弾いてギター独奏にしても違和感ない感じです。でもタラゴーのギターパートは、和声というよりも対旋律に徹している感じ。和声付けは、歌に対してではなく、ギターの弾く対旋律に対しての和声になっていたように聞こえました。歌とギターが完全に1対1で真剣勝負しているような演奏に感動しました。2回聴いたから分かったのかもしれません。
ちなみに、ソルのセギディージャ集では、先ほどエチュードをあんなに上品に弾いた同じギタリストが、こんなにフラメンコぽい土着の音楽を同じ楽器で弾くのかという、その幅広さに感服でした。

会場のinF、こぢんまりした店内に溢れるほどのレコード、CD、本。。。マスターが日本文学専攻されていたということで(私もなのです)、好みの本がたくさん!!次回は早めに行って、美味しそうなお料理を頂きつつ本を読みたいと思いました。

富川さんは今月26日、今度はポップスシンガーの石塚裕美さんとのユニットで同じinFさんに登場のご予定。今度はポップス⁈その幅広く、かつ奥深い活動には恐れ入ります。私なんかでは人生3回あっても足りないわ。。。





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by yuko_kodama | 2017-02-04 11:04 | ライブ、コンサートの話
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