人気ブログランキング | 話題のタグを見る

オスカー・ギリア ギターリサイタル in トッパンホール

2005年8月20日、トッパンホールにて行われた、オスカー・ギリアのリサイタルへ行ってきました。

巨匠の誉れ高いギリアですが、コンサートを聴くのは当夜が初めて。今回は福田進一氏の共演によるデュオもプログラムに入っており、同じ曲(ブラームス「主題と変奏」、ソル「幻想曲Op54.bis」)を演奏したことのある私としては、そちらにも関心がありました。

内容は、巨匠の名に恥じぬ素晴らしいものでした。その要因は、なんといってもプログラミングの妙にあったと、私は思います。30分近い長大な名曲、ポンセの「“スペインのフォリア”による変奏曲とフーガ」、そしてブラームスの「主題と変奏」。この2曲は、めったに生演奏に接する機会のない曲ですが、名曲中の名曲です。この日のコンサートでも、この2曲がどっしりとした重みを伴う風格ある演奏で、プログラムの前半・後半それぞれの要になっていました。
70歳近い年齢を考えれば、このプログラムをもって、5日間で福岡、京都、名古屋、そして東京と4都市でのコンサートをやり遂げることが、なんとも超人的に思われます。

さて、「スペインのフォリア」を聴きながら、今更ながらにポンセの作品の素晴らしさを感じました。この曲はあまりに長大かもしれませんが、「南のソナチネ」や「主題と変奏と終曲」などは、もっと演奏されてもいいのになーと思う。(かくいう私もレパートリーにしていないのですが・・・反省。)

このポンセの名演に対してちょっと残念だったのは、冒頭に二重奏で演奏されたバッハの「ソナタ ト長調」。本当は各パートの掛け合いなど、、もっともっと二重奏ならではの面白みを出せる曲だと思うのですが、この日は2人それぞれが自分のパートを淡々と弾いているだけのような印象でした。

後半の、ブラームスの「主題と変奏」は圧巻。自分が弾いたからこそ分かる難所が、何のつっかかりもなく、素晴らしい躍動感をもって演奏されてゆくのです。今回の演奏はかなりギタリスティックな感じで、あくまで弦楽6重奏の原曲のイメージを追いかけた自分とは異なった演奏が、また新鮮で素晴らしかったです。

♪オスカー・ギリア ギターリサイタル2005
8月20日(土) トッパンホール 19時開演

プログラム
・ソナタ ト長調 (J.S.バッハ/A.クラウゼ編)
・“スペインのフォリア”による変奏曲とフーガ (M.M.ポンセ)
・前奏曲 第1番、3番、5番 (H.ヴィラ=ロボス)
・主題と変奏 作品18 (J.ブラームス/J.ウィリアムス編)
・幻想曲 作品54 bis (F.ソル)
(アンコール)
・ドビュッシー讃歌 (M.デ・ファリャ)
・奇想曲「静けさ」 (F.ソル)
・「ゴジェスカス」の間奏曲 (E.グラナドス)
by yuko_kodama | 2005-08-21 01:01 | ライブ、コンサートの話
<< 調弦のススメ ランチライブ >>