村上春樹「ノルウェイの森」とギター

d0030554_22552621.jpg先週末7月2日(土)の朝日新聞土曜版に、村上春樹の大ヒット小説「ノルウェイの森」が紹介されていました。私も流行った当時に読んだ小説ですが、懐かしくなって読み返してしまいました。そして、この小説の中に出てくるギターの存在感を再発見したのです!

すでに読まれた方も多いと思いますが、この小説は、主人公「僕」と、精神を病んだ美しい女性「直子」の物語。単純な恋愛小説というには少し複雑ですが、静かな悲しみをたたえた美しい小説です。

さて、物語後半に、「僕」と「直子」の間を取り持つ「レイコさん」という人物が登場します。彼女は、もともとはコンサートピアニストを目指しており、数々のコンクールで優秀な成績を上げていたという設定で、現在は直子と一緒に精神病の患者のための療養施設で暮らしているのですが、その彼女の趣味であるギターたるや、ちょっとびっくりするほどの腕前です。

小説中に繰り返し出てくるのが「バッハのフーガ」。彼女はこの曲を何度も演奏し、熱心に練習していますが、ギターに編曲されている主なフーガは、どれも超のつく難曲です。さらに、ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」や、ドビュッシーの「月の光」などの編曲ものを弾きこなし、ジョビンの「デサフィナード」を始めとするボサ・ノヴァのレパートリー多数、ビートルズナンバーもなんでも来いの腕前はかなりのもの。小説のタイトルである「ノルウェイの森」も、直子が大好きなビートルズのこの曲をレイコさんがギターで演奏するというエピソードにちなんでいるのです。

これらのギターアレンジされた曲を想像しながら小説を読み進めていくと、この物語の美しさとギターの音色がぴったりと合っていることが分かります。残念なのは、ギター編曲版の「バッハのフーガ」(どのフーガなのでしょうね?)をイメージしながら小説を読める読者は、おそらく多くはないだろうということです。

このブログの読者は、ギターに興味のある方が多いと思います。そう、「ノルウェイの森」の美しさを100%堪能できる可能性を最も身近に持っているのは、ギターファンである私たち!バッハをBGMに梅雨時のひと時を過ごすには、もってこいの小説です。
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by yuko_kodama | 2005-07-10 22:57 | ギター音楽の話
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